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個人が勝つための株式講座67講 高い買収の場合の「のれん」のリスク

こんにちは、mymykenshinです。前回の「負ののれん」について記事を書いたところ、かなりアクセス来ましたね。

みんな関心があるんだなと思いました。負ののれんがあるんだったら、「正ののれん」もあるんでしょ。と聞こえてきそうですが、もちろん、あります。

そして負ののれんも怖いが大きな正ののれんも、かなり怖いです。いやもっと怖いかな。今日は、そっちの方も書いていきます。

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①会社の純資産価額よりも高く買うと(正の)のれんが発生する

いきなり負ののれんから話をしたので、少々混乱するかもしれませんが、正ののれんの方が普通なのです。

例えば、ある会社の純資産(資産ー負債)が1000万円で利益が毎年100万円の会社だとしたら、普通は1000万円では売りません。利益が出ているなら。

なぜなら、もし利益が確実に100万円出るなら、10%が確実な案件じゃないですか。そんな美味しい投資先はないですよね。

だから例えば1500万円でどうですか?って話になる。

 

そして1500万円買うとなります。そうなると買収価格(1500万円)ー純資産価額(1000万円)=500万円の「のれん」が発生します。

のれんは「資産」として計上されます。

その資産の正体は、超過収益力といい、会社の有形、無形の資産が有機的に機能して、資産から更に利益を生み出す力のことをいいます。

なんのこっちゃと思いますよね。では、すごく簡単に話をしますよ。

会社の中を見回すと、色んなモノだけでなく、例えば「お得意様やファン」だったり、営業マンのエースの「xxさん」だったり。長年お客様を裏切ったことがない「信用」だったり、工場には、機械もかなわない回路を作ってくれる熟練工の「◎◎さん」だったり、あるいはお店を気持ちよく運用できる「マニュアル」だったり。そこで販売している製品が「特許や実用新案権」を持っていますとか。

 

会社には、そういう様々な利益を生み出す能力がつまっているのです。だから、利益が出るのです。それは社長さんが長い間育ててきたものなのかもしれません。

そういうプレミアムのお値段が「のれん」というわけです。

 

※ここで会計士のようなオタクな人は、のれんが会計上認められるケース、認められないケースとか、色々グチグチ うんちくが始まりますが、ここは投資家のための株式講座なので、枝葉末節は無視して大丈夫ですし、本質論だけお話しますね。

 

②会社を売る側は、高く売ろうとする。買う側は安く買おうとする。

ここは切実な問題ですが、会社を売りたい人は、少しでも高く売りたいのが普通です。(最近そうでもないケースが出てきていますが後述します)。

 

高く売るためには、2つ方法がありまして、純資産を高く見せる。もしくは利益を高く見せるの2つがあります。上場企業ですと、これらは粉飾行為なので禁止されていますし、そうならないように会計士が監査しているわけです。

非上場企業を買収するときに監査が入っていない場合には、会計士や弁護士に「中身を調査してきてください」ってお願いします。

これをデューデリジェンス(「Due Diligence」は、「Due」と「Diligence」を組み合わせた用語で、直訳では「当然の努力」を意味する。)といいます。通称デューデリと略します。

ちなみにボロ会社でもデューデリ入ります。

先日のホテルの話は私が受けたデューデリの話ですし、大手でもデューデリは入ります。

デューデリは、なかなか、ヤバイモノがいっぱい出てきて、調査している方としては驚きがあって面白い(とかいったら怒られるか)

 

他にもデューデリにいくつか入っていたのですが、「債務保証契約」とかあって、それが履行確実で隠れ負債が◎億円ありましたとか。棚卸資産を商品部長が横流ししていて、帳簿上は3億円あったのが1億円しかありませんとか。経費のxx費がやけに膨らんでいるなと調べたら、架空経費で経理課長が愛人に横流ししていたとか。まあ、よくも気が付かなかったもんだと逆に関心してしまいます。

 

そういう怪しいものを、色々純資産から差し引くと、○○億円になりますとか。利益も、過去の利益は粉飾がこれだけあるので実態は△△億円でしたとか。

 

もちろん将来どれぐらい儲かるかは、だれにもわかりませんが、少なくとも過去の財務状況は適正レベルを調査するのがデューデリのお仕事となります。

 

注意することはデューデリは短期間で行われますし、売る側が隠し通しすこともあるわけです。そこでデューデリに入る前に売る側にすべての財務状況の資料の提出をお願いしますし、雇い側の買う側には「出された資料をもとに判断しました」という限定を付けます。出されていないものでも勘で結構見つけるのですが、それはオマケですね。

 

③デューデリがちゃんと行われれば、後は経営者の投資のセンスの問題

会社の過去の経営内容がわかれば、買う側は自社に取り込んだときのシナジーを算定します

 

複数の企業が連携したり共同で運営を行うことで、単独で行動するよりも大きな結果を出すこと。企業が合併あるいは買収する際に、求められる目的として、シナジー効果をよく挙げる。企業の合併・買収(M&A)以外にも、企業同士が事業提携を交わす際にシナジー効果を求めることが多い。

 

よく1+1=3にするのがシナジーだと経営の教科書に載っています。

 

そのシナジー効果が期待できるとなると、「この会社欲しいな」ってことになります。

ところがですね。なかなか想定通りには、うまくいかないことが多いですね。

 

日本の経営者ってサラリーマン社長が多くて、そもそも経営者としてセンスがない人が多いので投資に下手くそな経営者が多いのが実情。

そうなるとバラ色のシナジーに期待して、ものすごい高い価格で会社を買う事故が後を絶たない。

 

最近では武田の7兆円買収がありましたよね。

www.nikkei.com

武田の買収で、どれだけの「のれん」が発生するのかわかりませんが

巨額買収になると巨額ののれんが発生することになります

この経緯を見ると、どうしても買いたいと武田が先に行っているので、その時点で足元見られて終わりかなと思いますね。下手だよな。

 

④のれんは資産性が認められないと減損させられる

買収したときに、のれんの額の算定根拠を会計士に話さなくてはなりません。

なんで、こんな高い値段で買ったの??

 

そこで、現状にプラスしてシナジーで、将来的に毎年○○億円儲かるのでというバラ色の買収計画を提出して、のれんの正当性を主張します。

 

ところが買収すると、その買収計画時よりも悪くなっていることが多い。そうすると当初のストーリーと違うので のれんの資産性がなかったんですね。

って会計士に言われてしまうのです。それも半分以上否定されたら減損しろ!と言われます。

これが恐怖の、のれんの減損です。

そして、これがよくあるのです。

例えば、商社が油田の新しい工法 シェールに巨額投資したのはいいですが3年前の原油の暴落でシェールで掘っても採算がとれなくなり、多くのシェールが供給ストップになったときに、大手商社は軒並み数千億円の減損を余儀なくなされ、赤字に転落したのでした。平成27年度の話です。

 

⑤見分け方、日本基準と国際(財務報告)基準との違い

自分が投資している会社が、どれだけ「のれん」が発生しているのか確認するのは、連結貸借対照表に「のれん」という科目がありますので、そこで確認できます。

 

ちなみに武田薬品は買収が完了していないので、まだ計上されていないようです。これからということですね。

 

日本基準と国際財務報告基準との違いについて話をします。

 

日本基準では、のれんは償却することになっています。昔から。何年で償却するかは、会社の方針や、のれんの価値がどれだけ続くかを見積もって決まります。

 

日本基準の場合、のれんの減損が発生しても、すでに償却している分がありますので、その分だけ損失が小さくなりますし、もし全額償却済みであれば、そのあとに投資事業が赤字になっても「のれんの減損」は発生しません。

そういう意味で、日本基準は買収が慎重になります。なぜなら買収しても、のれん償却が発生するので、買収する会社が、のれん償却以上に利益を出してくれないと、買収したけど減益ということになりかねません。

 

一方で国際財務報告基準の場合、のれんの償却はありません。そして経営が行き詰まったら、「じゃあ減損してね」と冷たく宣告があるだけです。

そういったこともあり、買収に積極的な会社は国際財務報告基準に変わっていきました。

もちろん国際財務報告基準の方が外国人投資家を受け入れてもらいやすいというのはありますが、それより何より、のれんの償却をしたくないから、国際財務報告基準にした会社がほとんどです。

 

正直、のれんの償却以外に日本基準と国際財務報告基準に利益の差は、あまりありません。

そして最近、国際財務報告基準の今後の指針で「のれんの償却するかも」って言いだしています。そうすると苦労して国際財務報告基準に変更したのは何だったんだと現場の悲痛な声が聞こえてきそうです(^^;)

 

⑥長期投資なら気を付けること

先ほどもいいましたが、連結貸借対照表に巨額なのれんが発生したら、「大丈夫かな?投資事業はうまくいっているのか?」という目で見てください。

もし見つけたら、過去の買収案件が何か。それは事業として大丈夫なのか?を吟味してください。

 

それとソフトウェアの会社を買収したときには買収額の大きな部分が、「のれん」となりますので、やはり多額なところは要注意です。

具体的にグロい話をすると、

5460 Denaという会社の連結貸借対照表を見ると、2018年9月末で461億円の、のれんがありますが、こののれんのかなりの部分が、過去に海外のゲーム関係の会社を買収したときに計上された、のれんなのです。それが2016年10月18日に完全撤退しているのです。

したがって常識的に考えて、この461億円のうち、この会社の分は、減損しなくてはいけないはずですが、Denaのゲーム事業が黒字だということもあり減損していません。

 

一応、会計基準としては、ありえる屁理屈ではあるけれど、新日本有限監査法人さん弱いな~。ちゃんとやらさなきゃいかんよ。

ということで、逆に減損していないということは、ゲーム事業がやばくなると、この「のれん」という爆弾は確実にやばくなるわけで。

ゲーム事業が本当にやばくなったら、私はDenaを空売りします。(^^)

 

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⑦話は変わって、最近事業承継という小さいM&Aが活発です。

日本だと高齢化の波が押し寄せていて、社長さんが、ご高齢で「頼むから引退させてくれ」って会社が全国にある。

ところが、会社に経営を承継できる人材が成長していない場合に、M&Aに出されることが多いです。

残された従業員を頼むという形です。買収金額も数百万円とか安いものもあります。

50代で会社員やめて、そういう会社を買って経営者として次の人生を模索する人も多いようです。

銘柄としては6080 M&Aキャピタルパートナーズとなります。

すごい成長力で株価は一気に高騰して暴落していますが、これからも伸びる会社だと思っていますので、どこで切り返すかなと見ています。

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世の中を、ちゃんと見ていれば、こういう高騰銘柄に出会えるかもしれませんね。

 

⑧まとめ

企業が爆発的に成長するにはM&Aが手っ取り早いです。M&Aは時間を買うといいます。10年とか長い間開拓した顧客がいるということです。

ただし、合併して大きくなるには、投資の目が必要ですし、買ってからどれだけピカピカにしていくかが勝負の分かれ目となります。

日本電産は、慎重に慎重に買収案件を検討し、成功率の高いM&Aで有名です。RIZAPは、失敗してしまいました。

ソフトバンクは常軌を逸した成長を続けています(私はソフトバンクが大嫌いですが)。

そして66講~67講で、目論見がはずれたときのあまりに大きいダメージが待っていることがご理解いただけたかと思います。

 

私はファンダメンタルズで大きく確率高く勝つことで着実に買っていますが。

わたしから見ると、周囲でみかけるM&Aなんて下手くそ ばっかりです。

どことかいうと角が立つのでいいませんが(^^)

 

それと、M&Aについて、これだけのことを、素人にわかりやすく書けるのは私ぐらいかなと思いますよ。

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